研究概要 |
近年,コンピュータを使って人間の体の動きを認識,解析する方法に関心が集められている.視覚監視,福祉ロボット,ヒューマン・インタフェースなどの分野の応用が期待できる.しかし,これは容易な問題ではない.2次元画像から3次元姿勢を復元するという一般に共通する困難さ,人体の複雑さ,オクルージョンの発生などがあるからである. これら問題を克服するためにステレオ視や人体の構造モデルとのマッチングを用いて,推定を行う手法が提案されている.これら手法では,複数台のカメラや精巧な人体構造モデルが必要であり,また,計算負荷が大きいという問題点がある. 我々はこれら手法とは異なる機械学習アプローチによる推定手法を採用した.これまでにも機械学習アプローチを用いた手法が提案されている.Karaulovaは,隠れマルコフモデルを用いて,与えられた画像に対応する人体の姿勢の推定を行った.隠れマルコフモデルという離散状態空間モデルを用いて推定を行うため,姿勢の細かい変化を記述できないという問題点がある.姿勢を精度よく推定するためには連続状態空間モデルを用いる必要があるが、ガウス分布が仮定できないのでカルマンフィルターが使えず、また、逐次モンテカルロ法を用いたとしても、姿勢空間が高次元であるため計算負荷が非常に大きくなる。 これらの問題を解決するために、我々は新しい連続状態空間モデルを提案する,動作の周期性を過程し、周期運動の位相で画像、および姿勢を表現する状態空間モデル:Cyclic Motion Modelである.逐次モンテカルロ法を用いて,画像列から動作の位相の推定を行い、推定された位相から姿勢を復元する。さらに,提案手法を拡張し、3次元人体モデルが与えられる場合には任意のカメラ方向からの姿勢推定も可能にした. 本手法を用いて姿勢推定の実験を行い,提案手法の有効性を示した.今後の課題として,各種条件でのシミュレーション実験や実画像での実験が挙げられる.
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