配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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研究概要 |
この研究は,ユーザビリティテストなどで導入されてきたプロトコル分析手法のうち,発話思考法が,聴覚障害者やこども,高齢者などを対象にするのが困難であることを指摘し,その限界を超えるために創造的な思考過程におけるスケッチなどの可視化された情報や手話や身振りなど視覚的な情報を採取し思考の表れとして分析する手法の確立を目指し,動的な視覚情報の構造を把握する目的で遂行された. 創造的思考過程としてのデザインという創造行為の認知構造に着目し,その生成プロセスを観察実験によりモニタリングし,分節化を経て,特徴抽出と情報の階層化を行った.その階層構造に基づき,時間軸にそったスコアとして表記方法を考案することを目指した.さらには,その方法を用いて,実際にデザイン創造の過程をとらえる実験をおこない,モデルやプロトコルの表記方法についての評価検証を行った.本研究の研究成果としては,デザインにおける思考過程モデルの提案と,プレドローイングなど視覚的な要素抽出を経て,動的構造の関係解明に近づき,画面表示デザインへの提案をすることができた.特に,ことばと形の関係,プレドローイング行為の報告は海外や国内での研究発表で注目され,デザイン思考を対象とした研究においては,その方法の構築がまず重要であることを指摘するとともに,発話情報を信号的に分析しようとする研究動向へ意味論的理解を重視する立場での提案をおこなった.デザイン学会での研究奨励賞の授与に示されるように,本研究の関係で得られた知見からは,将来,感性情報としてのアプローチ方法への取り組みが発展的に考えられるだろう.聴覚障害者やこども,高齢者などを対象にしたより総合的な創造性研究のために,本研究におけるプロトコルの表記方法への取り組みは,研究の社会的貢献という意義を持つ.
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