研究概要 |
動的輪郭モデル(ACM)を用いた領域抽出において,目的とする対象領域の抽出精度および安定性の向上を図るために,対象領域の形状に関する事前知識をACMの制御に反映させる手法が種々提案されている.しかし従来の手法は,サンプルを用いた学習やプロトタイプの呈示を事前に必要としており,適用可能な対象が制限されたり煩雑な準備を要する等の問題を有していた.これに対し本研究では,ACM適用時に設定される初期輪郭線には対象領域の大まかな形状情報が含まれる(あるいは容易に含ませ得る)ことに着目し,初期輪郭線がもつこの情報をACMの制御に反映させることで,汎用性および利便性を損なうことなく対象領域の形状に関する事前知識を準備し領域抽出処理へ効果的に導入する手法を提案した.提案した手法では,利用者が設定した初期輪郭線からコーナー・直線・曲線など対象領域の形状特徴を求め,これらの形状特徴を記号列で表現したものを事前知識として領域抽出処理へ導入している.領域抽出処理においては,導入された記号列に基づき,ACMを構成する制御点に形状特徴を各々割当て,各割当ての下で制御点の適切な位置の探索を行うことにより対象領域の形状情報をACMの制御へ反映させている.また,その際,ACMの効率的制御を実現するため,各制御点に対する形状特徴の最適な割当て及び最適な制御点位置を動的計画法により探索する手法についても提案を行った.
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