研究概要 |
本研究は日本企業の環境活動とその評価に焦点をあてている。研究は次に示す3つの主な結果を得ている;1.環境経営の促進要因の抽出,2.事業活動への環境経営の効果の測定,3.企業の持続可能性-経済,環境,社会的責任活動を統合的に評価する方法の提案。 本研究の最初の部分は日本企業の経営環境意識調査に基づいている。環境のパフォーマンス構造を分析するためにSEM(構造方程式モデル)を適用している。企業の環境活動への影響は株主と投資家が最も重要であることが示される。もう一つの重要な要因が取引先間のいわゆるグリーンサプライチェーンで,これはISO14001認可の増加に貢献している。グリーンサプライチェーンを構築し,環境経営上成功した会社では、従業員が部門間のコミュニケーションにより環境の困難を克服している。さらにその終端にはグリーン消費者がおり,この結果企業の環境パフォーマンスは経済パフォーマンスと関連することになる。また情報開示については,ビジネスイノベーションを持続可能性報告の中に見ることができる。 2番目の部分では,環境経営とブランド構築に関する企業意識を分析している。主要な新聞に示される企業の環境経営度にもとづく価値と財務報告書から計算されるブランド価値とを比較する。企業の環境活動がブランド構築に影響することが明らかになる。とくにその傾向は一般消費者向け製品を製造する企業に顕著である。 最後の部分では,評価モデルSHB-DEAが企業の経済,環境,社会の活動を統合評価する方法として提案している。このモデルは事前の重みづけを必要としないDEAモデル(data envelopment analysis)に基づいている。さらにSHB-DEAは種々の利害関係者の局面を考慮するための事実上のウェイト制約を含むという特徴を持っている。
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