研究概要 |
離島と本土間のような地方交通は,本来その交通需要が少ないため,将来の交通需要そのものが交通計画の是非の判断に占める比重が,都市における交通計画に比べると小さいという根本的な相違点を持っている。そのため,将来の交通需要に対する効率性や経済性の視点ではなく,地方住民の生活環境の向上や最低限の社会福祉の保証という見地からの分析と考察によって交通・輸送計画を論じる必要がある。 そこで,研究の基本方向の整理と既存統計資料により離島航路の現状分析を行った。特に,離島航路の利用者ニーズの実態調査と各離島の社会的な属性との分析,各航路の輸送構造を分析し,利用者ニーズを考慮した航路運営の実現可能性の調査をアンケート及びヒアリング調査により行った。 そして,離島航路め利用者ニーズの実態調査と各離島の社会的な属性との分析,各航路の輸送構造を分析し,利用者ニーズを考慮した航路運営の実現可能性の調査を行い,単独航路を対象にした具体的な運航サービス改善策を明らかにした。更に複数離島航路の基本的分析に基づき,利用者ニーズに対応した輸送計画の実現可能性に向けて船舶・乗員スケジュール最適化システムに関する基礎的な構築を行った。そして,航路事業者および利用者の利便性向上への具体的な方策について明らかにした。また,中山間過疎地における輸送実態との比較分析を行い,離島航路の輸送サービスの特殊性の分析を行った。 最後に,離島航路の利用者ニーズと輸送サービスの改善について明らかにする。これをもとに,利用者のサービスレベルに対するニーズと航路事業者の経済的負担との関係について検討し,経済的側面からサービス改善策の実現可能性について定量的に明らかにした。また,航路事業者の経営分析から経営戦略のあり方についても明らかにした。
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