研究概要 |
銅クラッドを取り付けたステンレス銅コンジットを応用したケーブル・イン・コンジット導体を核融合炉用超伝導電磁石の導体として提案し,その有効性と応用可能性について実験・解析の両面から検討を行った。 その結果次のことが明らかになった。 1.従来のケーブル・イン・コンジット導体のクエンチ時温度上昇を模擬するために,短尺サンプルに液体窒素温度から通電し,実際の温度上昇を測定した。その結果,素線の集合体であるバンドル部と外周のコンジットの境界に熱抵抗が存在することが確認された。従って,従来の導体構造ではコンジットの熱容量を十分に利用することができず,クエンチ時の安全性を考えると,この熱抵抗が高電流密度化を阻害していることが分かった。 2.コンジットを模擬するヒーター付き銅ブロックをケーブル・イン・コンジット導体のバンドルに押し付け,界面での熱抵抗を測定する実験を行った。その結果,界面熱抵抗は界面での面圧に大きく依存することが分かった。実際の導体では,電磁力によって面圧は大きく変化するため,設計段階で熱抵抗を予測することは困難であることが分かった。 3.銅クラッドを取り付けた効果を調べるために,模擬導体を設計し,温度上昇解析(ホットスポット解析)を行った。その結果,銅クラッドへの電流分流により,クエンチ時温度上昇(ホットスポット温度)の抑制効果が得られることが確認された。また1mm厚さの銅クラッド付加でコンジットの熱容量を最大限利用した高電流密度導体の設計が可能になることがわかった。 4.課題として,銅クラッドへの電流分流を確保するために,バンドル部・コンジット間の電気的コンダクタンスを大きくする工夫が必要であることが分かった。
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