研究分担者 |
広瀬 才三 宮崎大学, 教育文化学部, 助教授 (00041054)
境 幸夫 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (50041059)
流田 勝夫 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (40041008)
小園 茂平 宮崎大学, 工学部, 助教授 (10169302)
大河内 康正 八代工業高等専門学校, 教授 (80124147)
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研究概要 |
海岸において2台のサンプラーで同時捕集した海塩データについて,海塩量と波浪・気象条件の相関に着目し,統計解析を行った.その結果海塩量と波高・波浪周期に明確な正の相関があることが導かれた.また累積質量データから海塩粒度分布を推定する方法,サンプラーの吸引量調整による分級精度の向上,推定した粒度分布の特徴について論じた.吸引量調整により得たデータから推定した粒度分布は,粒径0.2μm〜10μmにおいて,洋上観測から導かれた粒度分布の特徴と概ね一致する.さらに海塩量,海塩粒度分布と波浪データの対応関係を調べ次の結論を得た.(1)海塩フラックスは波浪エネルギーの散逸率によりほぼ決定される.(2)海塩粒子フラックスは波浪周期の増大とともに増大する.(3)粒径1.5μm以下の粒子に対する粒径1.5μm以上粒子の質量比は波浪エネルギーの散逸率の増大とともに増大する傾向がある.また沿岸砕波帯における海塩粒子の輸送・拡散に関する境界値問題を境界積分法で扱い,汀線付近で観測された海塩濃度粒度分布を基に海面上の海塩粒子フラックス分布を逆推定する方法について論じた.観測粒度分布を基にフラックス源分布を推定する問題は一般に非適切な逆問題となっており,(1)推定値のデータ誤差への感度を緩和する方法として複数高度の粒度分布データを用いる,(2)誤差の許容範囲で目標粒度分布のモデルへの適合-データ同化-を図るなどの処置が必要である.推定法による海塩フラックス源の位置,フラックス強度の時間変動傾向は波浪計算(SWAN)による結果と概ね一致する.汀線から約500m沖までの海塩粒子フラックス強度は,波高0.9〜1.1m,周期7〜9sの波浪条件の下で,外洋(10m高度の風速3m/s)の20〜40倍であり,さらに波浪エネルギーの散逸率増大により,汀線付近で最大130倍に強められる.
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