研究課題/領域番号 |
14580560
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境影響評価(含放射線生物学)
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
田内 広 茨城大学, 理学部, 助教授 (70216597)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2002年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | DNA修復 / 相同組換え / 電離放射線 / 染色体不安定性 / 遺伝子ノックアウト |
研究概要 |
放射線に被ばくした細胞内にはDNA二重鎖切断が生じる。DNA二重鎖切断の修復には、切断端を適当に再結合する非相同末端結合と、複製後の姉妹染色分体などを用いて正確に修復する相同組換えの少なくとも2つの機構が存在する。放射線高感受性や染色体不安定性を示す常染色体劣性遺伝病、ナイミーヘン症候群(NBS)の原因遺伝子はNBS1遺伝子である。NBS1遺伝子産物は754アミノ酸をコードし、放射線によるDNA損傷修復に中心的に関わっているタンパクであると考えられている。NBS1タンパクはMRE11/RAD50と複合体を形成しDNA損傷部位に集まることが知られているが、DNA再結合反応における機能の詳細については明らかでない点も多い。我々は、放射線によるDNA二重鎖切断の再結合過程におけるNBS1の機能を明らかにするために、ニワトリBリンパ球由来のDT40細胞を用いてNbs1遺伝子をノックアウトし、Nbs1欠損に起因する表現型を解析した。相同組換えの解析には特定部位にDNA二重鎖切断を導入できるSCneoレポーターを用い、非相同末端結合の解析には特殊なプラスミドレポーターを用いた。その結果、Nbs1ノックアウト細胞では相同組換え頻度が野生型細胞の約1/200にまで低下し、さらには染色体間での乗り換えを防ぐような「組換え中間体の正常な解消」ができなくなることがわかった。その一方で、Nbs1ノックアウト細胞でも非相同末端結合は起きることから、Nbs1が放射線によって生じたDNA二重鎖切断修復系路のうちでも相同組換え修復に中心的に機能していることが示唆された。さらにNBS患者細胞を用いた組換えレポーターによる相同組換え能の解析結果から、ヒトNBS1もDNA二重鎖切断の相同組換え修復に必須であるということが明らかとなった。
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