研究課題
基盤研究(C)
ヒトゲノムは均一なGC含量をもっモザイク構造(isochore)から成るが、大きく異なったGC含量をもつモザイク構造間の境界領域(以下境界領域)は特殊な高次構造をとる可能性が考えられる。本研究では、このような境界領域が放射線照射による欠失変異の誘発に関与するかどうかを調べた。モデル系として、培養細胞HT1080を用い、放射線照射後、X-染色体上のHPRT遺伝子周辺を大きく欠失した22株の細胞株を分離し、欠失端をPCR法でマップした。GC含量分布解析の結果、HPRTの5'側4〜4.5Mbに境界領域が想定される。しかし、得られた変異株の欠失端がこの境界領域に集中する証拠は得られなかった。次に、2ヶ所の境界領域が報告されている第11番染色体の約8Mb領域に位置する66種類のBACクローンと、第5から第22番染色体上に約1Mb間隔で位置するBACクローンとを付着させたDNAマイクロアレイを用いて、上記の欠失細胞株の内7株について、アレイCGH法により欠失・重複変異を調べた。その結果、第11番染色体の境界領域に生じた欠失はなかったが、6Gy照射後分離された3株において、第7,8,12番染色体上の5ヶ所の約15Mbから20Mb以上の大きな欠失を検出した。GC含量分布と欠失端の関係から、10の欠失端のうち、5つの欠失端は境界領域と想定できる領域近くに位置する。次に、第1番から第22番染色体上に1.2Mb間隔で位置する2300個と2箇所の境界領域が報告されている第11番染色体の約8Mb領域に位置する66種類のBACクローン・DNAを付着させたアレイを用いて、原爆被爆者の子供80人のアレイCGH解析をおこなった。しかし、生殖細胞で新たに生じた欠失変異は検出されなかった。本研究では放射線の照射による欠失がGC含量境界領域に集中するという証拠は得られなかった。しかし、欠失突然変異が生じやすい領域を塩基レベルで予測・選定できれば、今後の放射線による生物学的影響を研究していく上で重要な情報が得られるので、種々の観点から放射線の影響を受けやすい領域の検索を続けたい。
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