研究課題
基盤研究(C)
人間による陸域自然生態系の利用とその保全を考える場合、陸域自然生態系の最小単位である流域生態系全体を対象とする必要がある。ただし、流域内で各種物質は主に水を媒体に特に表層水である河川を通して移動していく。それ故、河川生態系の状態が流域生態系の環境状態全体を表す指標として重要な役割を持つ。つまり、河川生態系の健全性を的確に定義することができれば、流翌生態系全体の適切な管理が可能となるであろう。河川生態系の健全性については、物質循環における生産と分解のバランスの保全をその基本理念とした。藻類食者や懸濁物食者が存在しないときの河川生態系の機能についてまず予測している。基本的には、一次生産者による無機物の有機化が顕著な傾向として表れている。このような場合、温度の上昇、照度の上昇などで夏場に有機物生産がピークをむかえ、それにともない水中の無機量の割合が減り、温度が低下すると共に回復すると予想される。ところが、河川生態系の機能的な多様性が存在すると結果が大きく変わってくることが予想された。藻類食者が加わると一次生産者による有機化の程度が多少抑えられる傾向が見られた。しかし、懸濁物食者に関しては、その効果は見られなかった。ところが、この両者が出現すると一次生産者の有機化が大きく抑えられる効果が予測されたのである(図3)。また、これらの機能群が、一次生産者の有機化作用を抑えることができるのはTNが1ppm以下のときと考えられた。これらの結果から、河川の健全性を定義することが可能となろう。河川の群集の機能的な多様性があれば、つまり健全であれば、無機物の割合は周年に渡って比較的安定すると考えられる。しかし、藻類食者や懸濁物食者の減少など多様性が低下すると無機栄養塩類の割合は、夏少なく冬多い周期性を示すと考えられる。しかし、このことはTNが1ppm以下の時に成立すると予想された。
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