研究概要 |
1.スクアレン環化酵素に関するもの (1)化学的に合成したC_<35>ポリプレンを、中等度好熱好酸菌由来のスクアレン環化酵素に作用させることにより、6環性新規骨格をもつ非天然型ポリプレノイドの酵素合成に世界に先駆けて成功した。また、メチリデン基を導入した一連のC_<31>誘導体を作用させることにより、非天然型新規トリテルペンの創出に成功した。(2)酵母に異種発現したエンドウマメ由来β-アミリン合成酵素に、2種の基質アナログ22,23-dihydro-2,3-oxidosqualeneと24,30-bisnor-2,3-oxidosqualeneをプローブとして作用させ、反応生成物の単離と構造解析を行った。その結果、非天然型新規化合物の生成が確認され、閉環反応の化学を考える上で極めて重要な知見を得た。 2.植物ポリケタイド合成酵素(PKS)に関するもの (1)カルコン合成酵素は、1分子のクマロイルCoAと3分子のマロニルCoAを基質として、新たに芳香環を形成する植物に特異的なIII型PKSである。我々は本酵素が広範な基質特異性と触媒機能を示すことを見出し、クマロイルCoAやマロニルCoAのアナログ化合物をそれぞれ作用させることにより、また、両ユニットのアナログを同時に用いることによって、非天然型新規化合物ライブラリーの構築に成功した。(2)大黄由来ベンザルアセトン合成酵素の構造機能解析を行った。本酵素はポリケタイドの伸長反応に関与する活性中心Phe215を欠損する唯一のIII型PKSであるが、部位特異的変異によりPheに置換するとカルコンの合成能を回復することが示され、酵素の構造機能相関と機能改変の可能性を考える上で重要な知見を得た。また、今回新たに大黄よりヘプタケタイドの骨格を構築するアロエソン合成酵素のクローニングと機能発現に成功した。
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