研究課題/領域番号 |
14580615
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物有機科学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
臼杵 克之助 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (30244651)
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研究分担者 |
谷口 誠 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00047309)
藤田 憲一 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10285281)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2002年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 抗真菌作用 / 呼吸阻害 / 構造活性相関 / 9員環ジラクトン / 活性酸素種 |
研究概要 |
新規抗真菌剤UK-2Aおよび、その構造類似体である呼吸阻害剤antimycin (AA)は共に強力な抗真菌活性を有するが、UK-2Aの動物細胞に対する低毒性が何に由来するのかを明らかにすべく検討した。まず、生物活性発現にそれぞれの部分構造や置換基がどのように寄与しているかを明らかにすべく、UK-2AとAAの部分構造を併せ持つ9種類のハイブリッド体を合成し、牛心筋ミトコンドリアに対する呼吸阻害活性(pI50)と培養細胞LLC-PK1に対する細胞毒性(IC50)を評価した。UK2-Aとほぼ同様、あるいは若干上回る活性を示すいくつかのハイブリッド体が見いだされた。さらに、呼吸阻害活性発現に関しては芳香族アミド部分が必須であることを確認した。また、細胞毒性発現に関しては疎水性側鎖の種類と脂肪族アシル側鎖の鎖長が重要であることを見いだした。 さらに、9員環ジラクトン部を直鎖アルキル基やイソプレニル基に置換した11種類のUK-2A誘導体を合成し、呼吸酵母R.mucilaginosa IFO0001に対する各誘導体の抗菌活性を比較した。合成した誘導体の中で最も強力な活性を有するC9-UK-2Aの作用を調べたところ、AAやUK-2Aは静菌作用しか示さなかったが、C9-UK-2Aは殺菌作用を示すことがわかった。C9-UK-2Aは細胞内物質を漏出させ、人工調製リポソームより内封物を放出させたことから、典型的な膜障害物質よりもゆるやかな膜障害を引き起こすと示唆された。C9-UK-2Aは活性酸素種(ROS)の産生も誘導し、α-トコフェロール処理により生じたROSは消去されたが、その殺菌作用は完全に回復しなかった。次に、C9-UK-2Aの作用を出芽酵母Saccharomyces cerevisiae (SC)に対して調べたところ、静菌作用を示すことがわかった。C9-UK-2AはSCにおいて酸素呼吸を阻害し、細胞レベルやミトコンドリアレベルでのROSの産生を惹起した。細胞レベルのROSはα-トコフェロール処理により消去されたが、ミトコンドリア内のROSは消去されなかった。
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