研究課題/領域番号 |
14580622
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
構造生物化学
|
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
小川 温子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (90143700)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2003
|
研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
|
配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2002年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
|
キーワード | ビトロネクチン / 細胞外マトリックス / 肝再生 / 糖鎖調節 / 組織修復 / PAI-1(プラスミノーゲン活性化因子阻害因子) / 組織溶解活性 / 細胞接着伸展活性 / 肝疾患 / 組織再生修復 / 肝線維化 / 肝硬変モデルラット / 四塩化炭素投与 |
研究概要 |
糖鎖による組織再形成と臓器線維化の制御機構を解明するため、今年度は多機能血漿糖タンパク質であるビトロネクチン(VN)のラット肝再生に伴う糖鎖変化が、組織溶解系因子(u-PA、PAI-1、u-PAR)ならびにインテグリン仲介性細胞接着伸展に与える影響を研究した。血栓や組織の溶解を担うセリンプロテアーゼであるプラスミンは、通常生体内では前躯体のプラスミノゲンの形で多く存在し、主にプラスミノゲン活性化因子(PA)と、その阻害因子である1型プラスミノゲン活性化因子阻害因子(PAI-1)によって産生量が調節される。VNは生体内で非常に不安定な活性型PAI-1を安定化し、プラスミノーゲン活性化を阻害して組織溶解を抑制すると考えられている。 まず部分肝切除あるいはシャム手術24h後のラット血漿VNを精製し、PAI-1結合活性をELISAで測定した。その結果、VNのPAI-1結合活性は、シャム手術では非手術の約3分の2、部分肝切除では約3分の1と非常に減少することが判明した。一方、酵素による糖鎖修飾VNとPAI-1との結合活性は、N-グリカナーゼ消化VNではインタクトな正常VNに比較して大きく増強したが、シアリダーゼ消化VNではほとんど変化が生じなかった。この観察から糖鎖構造内部の変化によってPAI-1結合活性が大きく変化する可能性が示唆され、肝再生初期に見られるPAI-1結合活性の変化も糖鎖変化の影響であることが考えられた。さらにu-PA阻害活性に与えるVN糖鎖変化の影響を検討中である。 また、VN存在下における細胞伸展活性を比較すると、酵素消化によるVNの糖鎖修飾によって、BHK, HepG2, 3T3など細胞の種類により異なる影響がみられた。BHK細胞では、インタクトな正常VNより糖鎖修飾VNにおいて細胞接着伸展活性が著しく減少することが示された。しかしBHK細胞に対して肝再生初期のVNでは正常VNに比較して、あまり大きな差が示されなかった。今後糖鎖構造の詳細な変化を明らかにすることによって、PAI-1結合活性ならびに細胞伸展活性の調節機構との関係を究明する。
|