研究課題/領域番号 |
14580684
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
分子生物学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山中 邦俊 熊本大学, 発生医学研究センター, 助教授 (90212290)
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研究分担者 |
小椋 光 熊本大学, 発生医学研究センター, 教授 (00158825)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2002年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | AAAタンパク質 / ATPase / 線虫 / 遺伝性痙性対麻痺 / 分子シャペロン / 神経変性疾患 / ポリグルタミン病 / p97 / VCP |
研究概要 |
ヒトでは1種類のp97/VCPしか存在しないが、線虫では2種類存在する。それぞれにのみ作用するdsRNAを作成しRNAi assayを行なった。それぞれ単独ではなんら効果を示さなかったが、両者を同時に用いると胚性致死の表現型を示した。このことは2種類のホモログは機能的に相補的であることを示している。このときの胚を電顕観察すると、多数の空胞が観察された。これはp97/VCPは膜融合に重要な役割を担っているというこれまでの知見と一致している。 線虫の体壁筋で蛍光緑色タンパク質を結合した長さの異なるポリグルタミン鎖を発現させ、鎖長が40を越えると凝集体が形成されることを確認した。形成された凝集体は細胞質にのみ存在した。また凝集体形成は加齢には依存しなかった。このときp97/VCPホモログを共発現させると、凝集体形成が部分的に抑制されることを見いだした。このことは、AAAシャペロンが凝集体形成を阻止することを示唆している。 パラプレジンのRNAiでは、胚性致死・幼虫致死・成長遅延が観察された。進行性の運動能低下も観察された。組織化学的検討及び電顕観察からミトコンドリア異常を認めた。これらのことは線虫が遺伝性痙性対麻痺の解明に向けてのモデルになりうることを示している。同じ遺伝性疾患を引き起こすスパスチンのRNAiでは欠損は観察されなかった。 Fidgetinホモログに関してはRNAiによりこれが欠損すると成虫にはなるが生殖腺形成不全、その結果として不稔になることを明らかにした。このことはfidgetinは初期発生には必要ではなく、形態形成特に生殖腺形成に必須であることを示している。 バキュロウイルスを用いた昆虫細胞系でATPase活性を持つfidgetinタンパク質を精製することに成功した。種々の変異体も作製し、同様に精製した。この中で現在まで報告がなかった位置に存在するシステイン残基が活性に重要であることを見いだした。さらにはATP加水分解機構として提唱されていた「分子間触媒機構」を強く支持する結果を得た。
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