研究課題/領域番号 |
14580767
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
柿田 明美 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (80281012)
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研究分担者 |
山田 光則 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (30240039)
高橋 均 新潟大学, 脳研究所, 教授 (90206839)
KAKITA Akiyoshi NIIGATA UNIVERSITY, Brain Research Institute, Associate Professor (80281012)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | グリア芽細胞 / 神経芽細胞 / 分化決定 / レトロウィルス / 蛍光分子 / 移動動態 / 脳内未分化細胞 / subventricular zone |
研究概要 |
中枢神経系における神経芽細胞・グリア芽細胞の分化決定と移動メカニズムを知る目的から、脳室下層(subventricular zone : SVZ)内未分化細胞を識別可能な蛍光分子で標識し、それら細胞を生きたまま直接観察する研究を行った。研究を進めるにあたり、以下の方法論を確立した。1.シアン色および黄色蛍光分子の、cDNAを導入したレトロウィルスベクター(pDON-AI-EYFP-Mem, pDON-AI-ECFP-Mem)の作製。2.赤色蛍光分子のcDNAを導入したアデノウィルスベクター(pDsRed2-Adeno)の作製。3.生きた細胞を長時間観察するシステム(Metamorph, time-lapse system)の構築。4.SVZ細胞の標識法(stereotactic microinjection)。 新年児ラット前脳のSVZから産出した未分化細胞の一部は、脳梁を通って対側大脳半球に移動することを見出した。その際、このレトロウィルス標識細胞は未分化な形態を保ちつつ、単一の先導突起を線維束に平行に伸しながら移動した。脳梁における細胞移動はラジアルファイバーの伸長方向とは直交する(tangentialな)方向を取ることが解った。その際、未分化細胞は、未だ髄鞘で巻かれていない未熟な軸索をガイドとして移動する可能性が示された。新生児期にレトロウィルスを注入された個体を成熟期に達した時点で固定し、標識細胞の最終分化像とその分布を観察すると、注入を受けた側と半対側に認められた標識細胞の多くは、半球内側の白質・皮質に分布し、これは脳梁線経の投射部位におよそ一致していた。対側半球に分布していた標識細胞の数は注入側半球内のそれの1%程度であった。これらは分化したアストロサイトおよびオリゴデンドロサイトであり、単独あるいは2〜3個のclusterを形成していた。このように、SVZで産出したグリア芽細胞の一部は脳梁を通って対側大脳半球に移動することが示された。このことは、両半球間でクローンの混合が起る可能性を示唆していた。
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