研究概要 |
神経幹細胞のマーカーとして知られる細胞骨格蛋白Nestinは、神経幹細胞のほかにも血管内皮細胞などで発現がみられることから、神経幹細胞マーカーとしての特異性は低い。一方、nestin遺伝子のsecond intron enhancerは神経幹細胞に選択的に発現を誘導するため、この遺伝子発現をenhanced green fluorescent protein(EGFP)で可視化したE/nestin:EGFPトランスジェニックマウス由来の細胞では、GFPの蛍光強度が神経幹細胞としての活性と相関する。GFPの蛍光陽性を指標に骨髄間質細胞(marrow stromal cell, MSC)に神経幹細胞選択的nestin遺伝子の発現を誘導し、nestin-EGFP陽性MSCをセルソーターにより分離・濃縮した。 骨髄由来の細胞においは中胚葉由来のNestin蛋白質の発現がみられたが、神経幹細胞選択的nestin遺伝子の発現をE/nestin:EGFPトランスジェニックマウスの骨髄を用いることにより可視化した。BMP antagonistであるNogginにより、MSCにおける神経幹細胞選択的nestin遺伝子の発現が誘導された。セルソーターで選択・濃縮した神経幹細胞選択的nestin遺伝子発現MSCは、神経幹細胞のneurosphere assayにて増殖能を示さず、中枢神経系分化マーカー蛋白質の発現はなかった。神経幹細胞選択的nestin遺伝子発現MSCの細胞表面抗原は、CD45-,cKit-,Sca1^<low/+>,CD31-,CD44-,CD49e-で、成人骨髄多能性幹細胞(multipotent adult progenitor cell, MAPC)に類似した細胞表面抗原phenotypeを示した。
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