研究課題/領域番号 |
14580799
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験動物学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鶴山 竜昭 京都大学, 医学研究科, 助手 (00303842)
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研究分担者 |
山田 義博 京都大学, 医学研究科, 講師 (30252464)
日合 弘 京都大学, 医学研究科, 教授 (10073131)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2002年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 遺伝学 / ウィルス / 癌 / シグナル伝達 / 病理学 / ウイルス / レトロウィルス / リンパ腫 / STAT5A / プレB細胞 |
研究概要 |
ほぼ100%の頻度でプレBリンパ腫を発症する近交系SL/Khマウスでは、そのリンパ腫細胞は遺伝的に獲得したマウス白血病レトロウイルスMuLVの再感染が認められている。リンパ腫発症個体のほぼ5%の例においてプMuLVはStat5a遺伝子の翻訳開始起点の上流である第2イントロンに挿入し、そのLTR enhancer活性によりStat5aの発現レベルを著しく上昇させ、その転写活性に必要なチロシンリン酸化が確認された。Stat5a挿入をクローナルに有するSvi1リンパ腫細胞を抗IL-7R抗体により刺激するとStat5aのチロシンリン酸化比率が増加し、Stat5aの核内移行およびそのGASエレメントへの結合する能力がgel shift assayにより確認された。Stat5a挿入腸性リンパ腫細胞ではこのエレメントをプロモーターにもつ発ガン関連遺伝子c-myc、anti-apoptotic遺伝子Bcl-xLの兜現レベルが上昇していた。転写因子であるStat5aの高発現がリンパ腫発症に関与することが初めて示唆された。 Stat5aの高発現のリンパ腫発症への寄与は、SL/Khマウスの骨髄細胞へのStat5a発現ベクター導入実験でさらに検討された。Stat5aのwildtypeとactive mutant 1-6*Stat5a遺伝子を組み込んだベクターを骨髄細胞へ導入するとIL-7含有のpreB細胞optimalized methyl cellurose培地上で、一過性のpre-B細胞から構成されるコロニー数の増加を誘導したのにとどまったのに対し、継続的にチロシンリン酸化するactive mutant 1-6*Stat5a遺伝子はほかのマウスでは一過性の増殖にとどまったのに対し、SL/Khマウスの骨髄細胞導入例では96時間後plateauに達するまでpre-B細胞から構成されるコロニー数の増加が認められ、さらに導入後48時間後にはコロニー形成細胞のIL-7依存性が失われることが確認された。このようにStat5aはSL/Khマウス系統依存的にpre-B細胞の著明な増殖とIL-7非依存性を導くことが、再現性を有することが示された。 Stat5aのほか、新規遺伝子svi2(evi3)、stat5b、N-myc、homeodomain Interacting protein kinaseなど多数の遺伝子が挿入部位として同定されリンパ腫誘導性の発ガン遺伝子としての役割が期待される。
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