研究課題/領域番号 |
14580801
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験動物学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
石井 直明 東海大学, 医学部, 教授 (60096196)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2004年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2003年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ミトコンドリア / 電子伝達系 / 複合体II / シトクロームb / 活性酸素 / マウス / 培養細胞 / 発育異常 / 行動異常 / 活性酵素 / マウス培養細胞 / アポトーシス / 形質転換 / 癌 / 遺伝子誘導発現 |
研究概要 |
正常細胞における細胞内酸化ストレスは、その大部分がミトコンドリアから発生する活性酸素に起因する。この活性酸素は、ミトコンドリア電子伝達系から漏出した電子が近傍の酸素と反応することで生じる。我々の研究室で単離された線虫C.elegansのmev-1変異体は、ミトコンドリア電子伝達系複合体IIのチトクロームb大サブユニット(CYT-1)にアミノ酸点変異が生じ、ミトコンドリアから過剰の活性酸素を発生することが明らかにされた。そこで、我々はこれらの現象を哺乳動物において検証するために、cyt-1遺伝子の相同遺伝子であるマウスSDHC遺伝子にmev-1変異体と同様のアミノ酸点変異(SDHC V69E)を生じる変異遺伝子を構築し、これを導入したマウスNIH3T3細胞株(SDHCE69)を樹立した。このSDHCE69細胞株は、ミトコンドリアから過剰の活性酸素を発生することで、細胞増殖能が低下し、過剰なアポトーシスを誘導することが確認された。さらに、生存を続ける細胞では高頻度に良性腫瘍の特性を示す癌細胞へと形質転換することが明らかにされた。以上の結果から、電子伝達系複合体IIからの電子漏出が起因となり過剰発生した活性酸素は、細胞老化の原因となる細胞増殖能の低下や老年性疾患や早老化の原因となる過剰なアポトーシスを誘導し、さらには発癌を導く細胞の形質転換にも深く関与していることを明らかにした。 さらに、この変異を導入した遺伝子組換えマウス(トランスジェニック・マウス)の作製に成功した。この変異マウスは筋力の低下や視力の低下といった老人性の疾患が野生型に比べて早期に認められるようになった。これにより、このマウスが生体内酸化ストレスを原因とする老化や老人性疾患のモデル動物として、老化および老人性疾患の発症機構の解明に貢献することが期待される。
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