研究分担者 |
山家 智之 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (70241578)
阿部 健一 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70005403)
仁田 新一 東北大学, 加齢医学研究所, 客員教授 (90101138)
田中 明 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10323057)
西條 芳文 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (00292277)
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研究概要 |
Sugaらが提案した心室の最大エラスタンスEmaxは,心機能評価のよい指標であるとされていながら,この指標を得るための計測量が侵襲的にしか得られないため,臨床での応用が進んでいなかった.これを克服するために,われわれは,左心室容積の代わりに大動脈流量を用い,左心室圧の代わりに大動脈圧を用いて,しかも1拍内だけの情報に基づいてEmaxを推定する方法である直線的エラスタンス法およびパラメータ最適化法を提案した.ただし本方法でも,依然として流量と圧の計測が必要であった.そこで本研究では,侵襲的な直接計測量を必要とせず,かつ精度と再現性の高いパラメータ最適化法に基づくEmax推定システムを構築することによって,その臨床応用を行なうことを目的とした. 1)大動脈流量は,超音波診断装置から簡単に取得できる大動脈流速波形のビデオ信号をリアルタイムでキャプチャし,これを画像処理することによって非侵襲的に推定することができた. 2)左心室圧も非侵襲的に推定することができた.すなわち,心臓カテーテル検査において実測した左心室圧と大動脈圧,およびトノメトリ法から非侵襲的に計測される橈骨動脈圧に基づき,1心周期における橈骨動脈圧から大動脈圧までのシステムと駆出期における大動脈圧から左心室圧までのシステムをARXモデルで表すことにより左心室圧を推定する. 3)上記の推定方法を実現するパソコン・システムを構築した.また,この方法を適用するため,心臓病患者の心臓カテーテル検査時において,左心室圧,大動脈圧,橈骨動脈圧を計測すると同時に,超音波診断装置によって大動脈流速波形のビデオ信号を取得した.9名の患者を対象とした解析結果から,ARXモデルに基づく平均伝達関数においても10%程度の誤差で左心室圧推定が可能であることが確認でき,これと大動脈流量の推定値を組み合わせればEmax推定が可能となるシステムが構築できることが示された.
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