研究概要 |
平成14年度はヒト骨髄由来間葉系幹細胞を用いた三次元培養実験(アルジネートビーズ培養とペレット培養)を行い、in vitroでの軟骨組織誘導を試みた。平成15年度は前年度に三次元培養して得られた軟骨組織塊を動物の関節軟骨欠損部に移植する実験を行った。 骨髄由来間葉系幹細胞を用いた三次元培養実験-アルジネートビース培養-:ヒト骨髄由来間葉系幹細胞をアルジネートゲル中に移し、TGF-β3を含む培地中で0〜19日間培養した。培養0,4,8,12,16,19日の細胞の形態をTEMで観察し,collagen type I, type II, osteocalcin等の一次抗体とAuコロイドの二次抗体を用いた免疫SEMにより細胞の分化過程を検討した。その結果、培養4,8,12日に細胞表面および細胞外マトリックスにタイプIIコラーゲンとプロテオグリカンおよびオステオカルシンが発現した。培養16,19日に細胞内および細胞外にハイドロキシアパタイトの針状結晶が形成された。 三次元培養実験-ペレット培養-:ヒト骨髄由来間葉系幹細胞をTGF-β3およびBMP6を含む培地中で0〜21日間ペレット培養を行った。培養0,1,7,14,21日の細胞の形態をTEMで観察し、collagen type I, type II等による免疫電顕を行い細胞の分化過程を検討した。PCRにより細胞の遺伝子も解析した。その結果、培養14日で線維芽細胞様細胞と細胞外マトリックスから成る軟骨組織が誘導された。 三次元培養軟骨組織塊を動物の関節軟骨欠損部に移植する実験:培養14日目の軟骨ペレットを、動物の関節軟骨欠損部に移植するin vivoの実験を行った。ウサギおよびラットの関節軟骨に軟骨欠損部を形成し、培養14日目の軟骨ペレットをpress fitさせ充填した。移植8週間後に良好な軟骨組織の再生が認められた。
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