| 研究概要 |
本研究では,生分解性かつ細胞誘引能を有するアミノ多糖であるキトサン誘導体の自己組織化能に着目し,その機能を活用した薬物輸送システムへの応用を検討した.まず,基本原料として使用するキトサンの分子量制御法について検討し,水熱反応を利用することにより従来法では必須であった酸を使用することなく低分子化することが可能であることを見出した.さらに,この方法は様々なアセタール化合物の加水分解にも応用可能であることを明らかにした.また,糖質の水酸基を選択的に酸化することによるカルボン酸を有するキトサン誘導体の合成法,位置選択的なMannich反応を利用することによりフェノール性および疎水性側鎖の導入法を確立し,新規キトサン誘導体の合成を行った.さらに位置選択的反応による糖質の合成法も開発した.合成したキトサン誘導体のエマルジョン形成能を利用した薬物取込能を薬物モデルとして蛍光性のピレンを用いることにより検討した.キトサン誘導体を含むO/Wエマルジョンを急速凝固させることにより疎水性薬物を取り込んだ薬物含有キトサン誘導体を調製することができた.さらに,得られた試料を溶解させることにより薬物の徐放が可能であった.キトサン誘導体と生分解性高分子をブレンド材料化し,薬物徐放過程のキーステップとなるそれらの材料の生分解性について検討し,キトサンの機能を保持もしくは向上できることを見出した.
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