研究課題/領域番号 |
14580831
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
松崎 有未 (伊谷 有未) 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (50338183)
|
研究分担者 |
岡野 栄之 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60160694)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2003
|
研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
|
配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2002年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
|
キーワード | 骨髄幹細胞 / 造血幹細胞 / 間葉系幹細胞 / 分離 / 同定 / フローサイトメトリー / 細胞分離 / 細胞表面抗原 / 骨髄細胞 / Hoechst33342 / フローサイトメーター / 幹細胞純化 |
研究概要 |
間葉系幹細胞とは、自己複製能と複数の間葉系細胞へと分化する多分化能を有する体性幹細胞と定義され、成体では、骨髄間質、骨、軟骨、真皮、骨格筋、靭帯、脂肪組織などの結合組織に存在し、成体の間葉系組織の恒常性の維持、修復に機能していると考えられてきた。しかしながら、このような細胞が本当に存在していることを実験的に証明するためには、骨髄の中からその2つの能力を持つ細胞を分離し、プロスペクティブにその能力を示す必要がある。これまで報告されてきた間葉系幹細胞に関する多くの論文では骨髄等の組織からさまざまな方法で分離、培養される付着細胞のうち多分化能を示す細胞をもって間葉系幹細胞と定義されているが、それぞれの細胞が骨髄中でどのように局在し、どのような形態を持ち、どのような表現型を示すか、については不明なままである。 一方、造血幹細胞は体性幹細胞の中でも最も早くから研究されてきたものの1つであり、幹細胞に発現する選択的な表面マーカーを蛍光標識したモノクローナル抗体で認識し、その発現パターンをもとにフローサイトメトリーによって分離するという手法により高純度で回収することが可能となっている。しかしながら、同じ骨髄中に存在すると言われながらも、間葉系幹細胞を特異的に識別するためのマーカーは全く知られておらず、培養による細胞の性質変化や実験的な誤差を可能な限り除外するためにも、とりだしたばかりの骨髄細胞中に含まれている間葉系幹細胞を特異的に認識するマーカーを明らかにすることはきわめて重要な意味を持つと思われる。 本研究は、マウス骨髄細胞中の多能性間葉系幹細胞を選択的に分離・同定することを目的とし、間葉系幹細胞特異的な細胞表面抗原のスクリーニングを行い、間葉系幹細胞の性質を持つ細胞集団をprospectiveに同定し、純化する試みを行った。 その結果、CD29,CD49e, CD162という3つの接着分子およびサイトカインレセプターCD117陽性細胞がFibronectinコートディッシュに効率よく付着する性質を示すこと、CD29、CD49e、CD117またはCD162陽性細胞集団はいずれも脂肪細胞および骨細胞に分化しうる前駆細胞が含まれていること、などが示された。以上の結果から、上記4つの細胞表面抗原は間葉系幹細胞の分離を行う上で有用なマーカーとなりうることが示唆され、今後これらの細胞を分離し、その性質をさらに詳細に明らかにすることによって骨、軟骨、脂肪組織、等を対象とした再生医療への応用性を検討する。
|