研究概要 |
研究1 行為障害と併発するとされるADHDの診断に用いられる簡便なスクリーニングテストの開発を行った。小学2年生から5年生666名を被験者として,開発された持続的注意テストを実施した。教師評定およびパソコンを用いたCPTテストとの関連から妥当性が検証された。3週間の期間をおいた再検査信頼性も検討された。 研究2 行為障害に関連する要因間の関連を検討するため,小学4年生から6年生までの計354名,中学1年生から3年生までの計621名とその担任教師17名に対して,先行研究を元に作成された包括的な質問紙を実施した。担任教師には包括的なチェックリストを用意した。生徒用には,引きこもり,身体的不調,不安/抑うつ,社会的問題,思考の問題,注意の問題,非行,攻撃行動,その他の尺度,親子関係葛藤尺度(父,母,子ども間の理性,言語的攻撃,身体的攻撃があるかどうか),社会スキル尺度,うつ尺度,STAI-Y特性不安尺度などが実施された。 その結果,教師評定,自己評定とも反抗挑戦性障害,行為障害といった外在化問題行動は,うつ,不安といった内在化問題行動とも関連する傾向が見られた。それらは,自己評定において一層顕著な結果となった。成績,話し合いで解決する親子関係,信頼できる大人の存在は,一貫して問題行動とは負の相関を示した。社会スキルは,問題行動のほとんどの尺度と相関がみられた。 研究3 行為障害と併発する可能性があると考えられるうつに焦点を当て,うつ一次予防プログラムを開発し実施した。中学1年生および2年生計703名を対象とした予備的な調査によって確認されたうつに関連する要因を取り上げ,海外のプログラムも参考にして,中学1年生67名を対象にそのプログラムを実施し効果の検討を行った。その結果,2ヶ月後のフォローアップ時点においても効果が維持していることが確認された。
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