研究概要 |
(研究目的)放線菌Streptomyces fradiae由来angucycline系抗生物質Urdamycin A (URD-A)の構成デオキシ糖であるD-olivose (D-oliv)とL-rhodinose (L-rhod)の4つの糖転移酵素(GT)に関する代謝工学的研究を展開し、関連するGTであるUrdGT1b, UrdGT1c, UrdGT22の基質認識を明らかにし、代謝工学的手法を用いて新規GT活性を創出する。 (成果概要) 5領域に分割したGT1b及びGT1cのうち、領域II(50残基)に対してPCRを利用したDNAシャフリングを行い、改変型GTを構築した。これらをS.fradiaeのXTC mutant及びAx mutantを発現宿主に用いて発現させ、形質転換体の配糖化産物を検出することにより活性を評価した。形質転換体をそれぞれ400及び198検体について検討したところ、天然型にはみられなかったGT1bとGT1cの双方の活性を有するものの他、新規GT活性として分枝型糖鎖を有するurdamycin Pを与える改変型GTの創出に成功した。 構成デオキシ糖を生成する酵素遺伝子群のうち、UrdRはデオキシ糖4位の還元酵素と推定された。UrdRのフレームシフト変異株RN-435の代謝産物を分析することにより、2種類の新規URD代謝産物が見出された。各種スペクトル分析により構造決定したところ、URD-Mの9位D-rhodの4'水酸基がL-rhod化されたURD-R及びURD-Rの9位D-rhodがL-rhodとなったURD-Sであることが判明した。この結果、UrdGT2はその基質となる各種ヌクレオチド糖供与体プールが適切に供給されれば、D-,L-双方のrhodinoseをC-配糖化する能力があることが判明した。 上記の知見は、有用物質生産を指向した代謝工学的応用研究に向けた重要な知見となった。
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