研究分担者 |
兵頭 慶子 (兵藤 慶子) 新潟大学, 医学部, 助教授 (50228756)
杉原 名穂子 新潟大学, 人文学部, 助教授 (00251687)
定方 美恵子 新潟大学, 医学部, 講師 (00179532)
佐藤 悦 新潟大学, 医学部, 助手 (20169410)
石田 真由美 新潟大学, 医学部, 助手 (40361894)
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研究概要 |
[目的・方法] 本研究は,平成7年〜9年度の科学研究費助成金による「不妊治療により妊娠・出産した母親のセクシュアリティと母子関係に関する研究」を出発点とし,研究参加者のその後を追った縦断的な質的研究である。研究対象は倫理的な手続きを経て,前回の参加者22名のうち協力が得られた11名と新たに不育症の夫婦1組,男性不妊の夫婦3組を参加者とした。研究方法はライフ・ストーリーの聞き取りによる逐語録をデータとし,質的帰納的分析・解釈・統合により不妊治療を選択した女性・夫婦に起きてくることを浮き彫りとし支援モデルの創出をめざした。 [結果] (1)不妊治療を選択した女性に起きてくることとして以下のストーリーが導かれた。 (1)治療の始まりは楽観的な病気行動モデル(2)不妊治療とは何かを知る(3)焦燥感と欠陥意識,知識が駆り立てる治療への「のめり込み」(4)不妊治療が生み出す性交のプレッシャー(5)不妊治療による性の場面の関係性(6)不妊治療が妻に割り当てる「調整役割」(7)完璧な母子への呪縛(8)責められず受け入れてくれる場の救いとジェンダーの気づき(9)母子の健康の気がかり(10)新たに生じるセックスの悩みと問い直される夫婦の関係 (2)上記を包摂する中核カテゴリーは「不妊治療とは何かを知る」に収束し,構成概念は「子どもの希求度」「性の目的・意味」「女性の課される調整役割」「女性の性機能と身体への侵襲」であると考えられた。 (3)4つの構成概念から不妊治療を選択した夫婦の関係性を図示するモデルを作成された。不妊および不育症夫婦の性役割意識の変化とセクシュアリティはこのモデルによって説明され,不妊相談や支援に活用できることが示唆された。一方,男性不妊の場合には,性役割意識およびセクシュアリティについて別の側面を示唆された。 [課題・今後の展望] 本研究の成果は,ジェンダー視点をもった不妊相談・支援のために男性不妊の夫婦に焦点化した研究の方向性を示し,不妊治療に続く女性の健康支援システムの必要性を提起した。
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