研究課題
基盤研究(C)
夜勤交代勤務における管理的(勤務体制、職場内の人的配置、労働の身体的精的負荷)、制度的(両立支援制度、伝統的な性役割観をもつ組織風土)、職場組織的(職場内のサポートとネゴシエーション)労働環境のどういった組み合わせが仕事と家庭の両立をどのように規定しているのか、その結果従事者の身体的精神的健康にどのような影響を及ぼすのかを明らかにするために、夜勤交代勤務の代表的職種である病院に勤務する看護師を対象として本調査を実施した。調査対象は、首都圏(栃木県、群馬県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県)にある公立病院、済生会病院、赤十字病院であり、調査方法は質問紙を用いて対象病院に配布し、有効回答数は3416人であった(有効回答率26.2%)。仕事と家庭の両立(仕事と家庭のスピルオーバー)に関係する労働環境としては、交代制度、特に夜勤頻度や残業をふくむ労働時間も強く影響しており、かつ上司の労働観、上司に対するネゴシエーション、職場の組織風土などが強力に影響していたことが明らかになった。これらは上司のジェンダー観を強く反映していた。仕事と家庭の両立に関係する家庭的責任のあり方については、子育てに対する家族の協力度、夜勤時の保育体制が職場に依存しているのか、家庭に依存しているのかという点に強く影響していた。また、労働環境と家庭的責任の結果を総合して双方の関係を考えると、職場のジェンダーによる問題は、家庭での家庭的責任のあり方の問題を引き起こしている可能性が示唆された。今後の課題として、本調査の結果から、労働環境、家庭環境、社会環境の整備方法を見出すためには、男女とも仕事と家庭の両立を図ることが極めて緊急かつ重要なことであることが明らかになったものの、夫婦各々が仕事と家庭のバランスをどのように規定しているかを把握が不十分である。夜勤交代勤務が夫婦の家族的責任の分配に及ぼす影響を明らかにすることによって、夜勤交代勤務と家庭生活の二重負担を具体的に軽減するような有効な両立支援対策を構築することは、家庭での家庭的責任のあり方の問題解明の糸口になると考えられる。
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