研究概要 |
近年,各方面からNPOに対する客観的な評価方法が求められるようになった。このような中で本研究では,NPOを「公益」の視点で評価することを主題とした。研究対象は,NPO法人に加えて,法人格を持たないボランティア団体,市民活動団体等も含んでいる。 研究は以下の順序で進められた。(1)NPO評価に関連する様々な調査研究の確認,(2)NPO先進国フィリピンにおける評価活動の現状調査,(3)日本のNPOの活動実践者に対する意識調査,(4)NPOの公益評価のための調査票作成,(5)上記(4)の調査票を使用した個別NPOに対する聞き取り調査。 以上の研究を進めた結果,評価システムとして,以下の二つの調査票を提示するに至った。一つは「NPOの公益評価のための調査票」である。同調査では,従来からの組織評価と事業評価に加え,「人数」という具体的数値によりNPOに対する評価を行なうため,関係者の現在の人数とその最近の数の変化によって評価した。そして各項目のバランスの良いNPOを,優秀なNPOであると想定した。もう一つは,「NPOの公益指標として心のつながりに関する調査票」である。同調査では,従来からある組織・活動を中心とした社会的価値創造の評価の視点に加えて,心の価値創造の視点からの評価の必要性を提示し,心の価値創造における評価システムの構築を試みた。この評価においては,NPO自身の精神的充足だけで,こころの価値創造評価がきまるのでなく,スタッフ,参加者,支援者及び利用者の精神的充足の評価も同時に行い,双方の精神的充足があることによってはじめてNPO活動の公益が高められると想定している。
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