研究課題
基盤研究(C)
神経細胞死・変性の実行過程に関与する新規遺伝子群を同定する目的で、ショウジョウバエを用いた『異所発現トラップ法』を導入した。これはショウジョウバエ個体内で未知遺伝子を強制発現させる方法であり、強制発現の結果引き起こされる様々なショウジョウバエの表現型をもとに、機能的に遺伝子をスクリーニングすることが出来る優れた手法である。本年度はこの異所発現トラップ法を用いて、ショウジョウバエ神経系組織に未知遺伝子群を強制発現させることにより、新規の神経細胞死/変性実行遺伝子の同定を試みた。本研究で同定された遺伝子群は、神経発生のみならず神経変性疾患の発症メカニズムを理解するためにも、多いに役立つものと推測される。(1)ショウジョウバエ異所発現トラップ系統約5000系統のスクリーニングをほぼ終了し、35の目的の系統を同定した。(2)同定された35系統について、強制発現され得る神経細胞死実行遺伝子の候補を同定した。(3)その内のendd2と名付けた1系統について、原因遺伝子の正確な同定及び機能解析を行った。(4)endd2はショウジョウバエSec61αホモログをコードしており、細胞質内にユビキチン化タンパク質を蓄積させることにより紬胞死を誘導することが明らかとなった。(5)endd2はショウジョウバエ・ポリグルタミン病モデルにおける神経変性の実行に関与していることが遺伝学的手法により明らかとなった。またそれにはユビキチン化タンパク質の蓄積が重要な引き金になっていることも示唆された。
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