研究概要 |
本研究は,アクチュエータ関連の先端的研究開発に従事する研究者が共同して,アクチュエータに関する最新動向の調査とその系統的な整理を行い,将来における,アクチュエータ研究開発の進め方について,広い視野から議論,研究企画を行うことを目的として実施した.各自の専門,関心分野を中心に調査テーマを分担し,内外の関係学会参加,研究所等見学および3回実施した全体会議での研究発表会等での情報交換等の手段により,最新動向調査を行い成果報告書として纏めた.(1)新原理アクチュエータの研究開発動向調査では,電磁アクチュエータ,静電アクチュエータ,圧電アクチュエータ,空気圧アクチュエータ,光アクチュエータ,機能性流体アクチュエータ,化学アクチュエータ,バイオアクチュエータ,多自由度アクチュエータ,マイクロアクチュエータ等をとりあげ,各研究担当者の研究を中心に,世界における近年の動向を調査した.(2)アクチュエータ関連分野の動向調査では,新材料開発,加工法,制御法などアクチュエータの研究開発を支える基盤技術の現状の把握を行った.(3)アクチュエータの新規応用分野の調査では,医療福祉,仮想現実感,情報技術,位置決め技術,触覚提示,ロボットなど産業界で要求されるアクチュエータの機能と性能について調査した. その結果,ロボットの性能向上には,筋肉に匹敵するアクチュエータの開発が不可欠であるなど,新しい原理による高機能アクチュエータの研究開発の重要性をより明らかにすることができた.アクチュエータの重要性の認識は世界的に高まっており,欧米は当然として,最近では韓国中国台湾においても活発に研究が進められてきている.産業と科学技術を支える基盤技術として,我が国が優位を保つには,アクチュエータおよびこの周辺技術の活性化を緊急に行う必要がある.アクチュエータの開発には材料,原理,加工法,制御法,応用技術等にわたる総合的な技術開発を必要とすることから,特定領域研究の研究領域として総合的な見地から機動的かつ効果的な研究推進を行うべきであるとの結論を得た.
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