研究概要 |
危機的な地球環境問題に関連して,地球温暖化の要因であるグリーンハウスガス(CO_2など)の排出量を低減するとともに,自然界の資源・エネルギーが有限であることを認識し,できるだけ人間社会の中で資源・エネルギー循環を行い,自然界への廃棄物を最小限にする社会システムとそれを実現する科学技術の開発が必要不可欠である.その一つの対策として,本提案では,バイオマス資源の環境調和型有効利用プロセスの開発を通して,発展途上国を中心とした物質・資源循環システムの提案・推進のための調査企画を目的とした。 具体的には,協力グループメンバーのフィリピン,インドネシアでの生産量が大きいバイオマス資源であるカシューナッツ木に着目し、その構成成分の内、付加価値の低い(1)樹皮,(2)果実,(3)カシューナッツ殻,(4)カシューナッツ殻液の有効利用方法について検討した。 その結果、メンバーに共通する超臨界流体技術を駆使して「二酸化炭素,水,空気」という環境調和型溶媒を用いたカスケード型有効利用のための多角的要素技術研究の意義を確認し、バイオマスを対象とした調査研究結果をミニシンポジウムという形で実施、その総合討論の中からトータルシステムの提案を策定した。 討論会では、参加者同士が意見を交換し、マイクロリアクター、超臨界流体、イオン性液体等の技術が、天然資源の改質に利用されていないとの認識に至った。マイクロリアクター中で、イオン性液体を用い天然資済を前処理することで、持続可能な天然資源改質プロセスの開発が可能であると考える。本研究で得られた知見を整理することで、将来の海外共同研究として「持続可能な天然資源改質プロセスのためのマイクロリアクター開発による、イオン性液体と超臨界流体による生理活性混合物の製造」を提案する方針に至った。
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