研究分担者 |
中澤 裕之 星薬科大学, 薬学部, 教授 (50150173)
鳥羽 陽 金沢大学, 薬学部, 助手 (50313680)
木津 良一 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (80143915)
嵯峨井 勝 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (80124345)
柳沢 幸雄 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (30313042)
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研究概要 |
経気道曝露する未規制多環芳香族炭化水素の健康リスクについて,研究班員及びその関連領域の最近の研究に関する調査を実施した。さらに平成15年1月10-11日に金沢でシンポジウム及び会議を行い,次の成果を得た。ディーゼル粉じんを曝露したマウスでは,肺内サイトカインmRNAに変化を来すだけでなく,副腎,卵巣機能にも影響を及ぼしていること,また,精子産生能の低下及びライディッヒ細胞の変化が生じること,さらに胎仔期の曝露が生殖系だけでなく記憶能力の低下も引き起こしている可能性が明らかになった。しかし,これらの影響がディーゼル粉じんに含まれるいかなる成分によるかは明らかにされていない。一方,ディーゼル粉じんに多く含まれ,主要大気汚染物質である多環芳香族炭化水素についてヒト培養細胞を用いて評価すると,エストロゲン様作用及び抗エストロゲン作用,あるいは抗アンドロゲン作用を呈するものがあり,いずれの活性も多環芳香族炭化水素の環数の違い及び異性体により異なるだけでなく,前者の作用は細胞内でCYPにより代謝を受けた多環芳香族炭化水素の水酸化体が活性の本体であり,後者の作用は多環芳香族炭化水素及びその代謝物も活性発現に関与する可能性があることがわかった。以上の研究結果は,大気汚染物質の健康リスクとして,呼吸によって曝露する量が多い多環芳香族炭化水素の内分泌攪乱作用の調査研究が重要なことを示している。また,研究班では,これら有害大気汚染物質の浄化方法の一つとして,金属・光触媒作用による分解除去法の可能性についても検討したが,多環芳香族炭化水素については現段階では有用な基材は見出せていない。
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