研究概要 |
本研究は、18世紀後半のフランスの手稿雑誌Correspondance litteraireの記事を調査分析し、その結果をデータベース化すること、それを用いて当時の文化的コンテクストを可能な限り包括的に記述することを目的としている。第3年度に当たる平成16年度においても、データベース構築の基礎である入力項目を確定し、そのうえで、記事の読解から得られた情報を入力する、という過去の2年度と同様の作業を続行した。すなわち、〔記事の批評の対象となる作品/事象〕、〔作者〕、〔発表(作品)/出現(事象)年月日〕、〔Correspondance litteraireの発行年月日〕、〔批評内容・賛美的〕、〔批評内容・批判的〕、〔引用作品/事象〕、〔キーワード〕の各入力項目を設定したうえで、複数の研究補助員の協力を得つつ研究代表者の責任において記事を読解し、これらの項目に関する情報を抽出して入力したのである。平成15年度末の時点で、総計で6年分600程のデータを入力できた。最終年度である平成16年度においては約100のデータを付加した。今後出来るだけ早い時点で研究を完結させるべく努力していく予定である。ただ,17-18世紀フランス美術に関する芸術社会学的研究書の学術翻訳が平成17年度中には刊行されることになっており、18世紀後半のフランスの文化的コンテクスト-すなわち、諸主題群に関する、さまざまな社会グループの言説の配置-の解明を目的とする本研究の成果が,徐々に実を結びつつあることは確かである。
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