研究概要 |
(1)本研究の2年目として,昨年度に収集した1999年,2000年,2001年の政治資金収支報告書に記載された政治資金に関する情報を整理し,データ入力を進め,ほぼデータベースを完成させることができた. (2)3年間にわたる候補ごとの小選挙区支部,資金管理団体に関する収入および支出の項目別データおよび2000年総選挙における選挙運動収支の項目別データを活用して,政治家個人(資金管理団体)に対する企業・団体献金が禁止された2000年を境に政治資金の流れがどのように変化したかを分析した. (3)1999〜2000年の変化は,小選挙区支部において平均約3052万円の収入の増加があり,特に寄付団体分が1534万円増となっている.また,支出の面でも経常経費で902万円増,政治活動経費で1890万円増となっており,小選挙区支部における政治活動が拡大したことがわかる.他方,資金管理団体においては,収入が平均889万円減となっている.収入のうち寄付については,2000年から禁止された寄付団体分が1429万円減となったが,代わりに寄付政治団体分が376万円増となっており,そのうち,小選挙区支部などから資金管理団体への資金の流れは204万円増であった.したがって,企業・団体献金が小選挙区支部を経由して資金管理団体へ回ったと考えられる. (4)2000〜2001年の変化は,小選挙区支部の収入が1698万円減,資金管理団体の収入も579万円減となって,総選挙が終わって政治資金量が減少したことがわかる.しかし,99年と比べると,小選挙区支部と資金管理団体の収入は2142万円と3860万円だったのが,2001年には,それぞれ3233万円と2524万円となり,小選挙区支部の方が集金力が高くなっている.その意味で,資金管理団体の意義は,小選挙区支部に比べて減少したことが明らかとなった.
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