研究課題/領域番号 |
14653001
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
経済理論
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
金子 文洋 千葉大学, 法経学部, 助教授 (30302524)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2004年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2003年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 信用リスク / デフォルト / 情報の経済学 / 一般均衡 / 割り当て制度 / 価格の硬直性 / 厚生経済学 / 誘因両立性 / 制度制約付パレート最適性 / 期待効用理論 / 危険回避度 / 危険慎重度 / 非完備金融市場 / 法定担保 / 制度的制約下のパレート最適性 |
研究概要 |
今年度はまず、D.Gale(1996)のモデルを参照して、複数人の売り手と買い手がデフォルトリスクを市場変数として一般的契約を取引するモデルを構築した。昨年度後半の研究においてデフォルトリスクが予期せぬ事後ショックとしてのみ認識される可能性が示唆されたが、本モデルでは信用リスクを市場変数とすることによって事前調整の対象とみなした。また、Galeのモデルは情報の非対称性を含む逆選択モデルであるが、本研究で構築されたモデルでは、各契約が履行された場合の効用は取引相手のアイデンティティに依存しないものとし、情報の非対称性を除去した。 次に、この経済における競争均衡を定義し、それをひとつの社会的契約割り当て制と見た場合の厚生経済学的最適性について考察を行った。まず、改善を実現する社会的契約割り当てには、一般的な取引成立条件のほかに、取引相手ごとの誘因両立性と改善取引への参加可能性を、追加的制約条件として要求した。そして、こうした条件をみたす社会的契約割り当て制を使ってパレート改善できない契約割り当て状態を、「条件付最適」であると定義した。その結果、売り手(買い手)の中に他の売り手(買い手)から「羨望」されないものが1人でもいるような競争均衡は条件付最適であること(厚生経済学の第一基本定理に相当する)が証明された。さらに、条件付最適な社会的契約割り当て制を分権化された競争均衡として実現すること(厚生経済学の第二基本定理に相当する)を目指して、均衡において取引されない契約に対し各売り手(買い手)がどのような信用リスク指標を与えられるべきか考察を行ったが、こちらは現時点で最終的な解決には至っていない。
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