研究課題/領域番号 |
14654056
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
江馬 一弘 上智大学, 理工学部, 教授 (40194021)
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研究分担者 |
欅田 英之 上智大学, 理工学部, 助手 (50296886)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2002年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 励起子 / ポラリトン / プリカーサー / 半導体 / パルス伝搬 / 超光速伝搬 |
研究概要 |
物質中での光パルスの伝搬は、波数kとエネルギーωの分散関係がわかっていれば、基本的に理解できる。しかし、共鳴領域におけるフェムト秒パルスの伝搬では、パルスが単純に群速度で伝搬するという描像は成り立たなくなる。半導体・絶縁体での励起子共鳴領域では光パルスは励起子ポラリトンとなって物質内を伝搬するが、ポラリトン以外にも奇妙な伝搬波形が2種類観測されている。それは、ポラリトンパルスの前にそれよりも速く伝搬する比較的大きなピークと真空中の光速よりも速く伝搬しているように見える小さなピークの2つである。 この2つのピークはこれまでの研究で、プリカーサーとsuperluminal伝搬パルスであることが判明した。以下に具体的な研究成果を述べる。 (1)透過波形の時間分解スペクトル波形を測定し、二つのピークのスペクトル成分を調べた。この結果より、速く伝搬する成分のうち大きな方のピークは低周波数成分から構成されており、20世紀の始めに理論的に研究されていたプリカーサーであることが判明した。 (2)入射パルスのエネルギー、強度、パルス波形、および試料の温度、厚さなども変化させた系統的な実験を行い、入射パルス依存性、試料依存性を調べた。プリカーサーは線形伝搬現象であるため、強度に対して線形に増大することが確認された。また、パルスのスペクトル形状の裾に非常に敏感で、裾の形と分散曲線の関係でプリカーサーが見えるかどうかが決定されることが判明した。 (3)真空中の光速よりも速く伝搬するsuperluminal伝搬のスペクトル幅依存性および入射強度依存性を詳細に調べた。その結果、スペクトル幅が狭ければ群速度で伝搬し、強度を上げると励起子の高密度効果が伝搬に影響を与えることがわかった。
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