配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
光合成細菌の光合成系は,二種類のアンテナ色素蛋白複合体(LH1及びLH2)と光反応中心(RC)の3つの色素蛋白複合体が,有機的に結合した超分子配置を形成することにより生理機能を発現している。光合成膜蛋白質の結晶構造解析の成功により,RC, LH1,LH1-RCコア複合体,LH2の構造が原子スケールで明らかにされつつある。つい最近、オランダ・英国・米国の研究グループが共同で、天然由来の光合成膜におけるLH2アンテナおよびRC-LH1コア複合体の超分子配列の原子間力顕微鏡(AFM)を用いたその場観察を実現し、その成果を本年8月24日発刊の学術雑誌Nature(430,1058-1062)に発表した。その報告を受けて,最終年度は,AFM測定に最適と考えられる平坦な光合成膜を持つ紅色光合成細菌、Rps. viridis及びRps. acidophilaに注目し,これらの光合成細菌からのRC-LH1コア複合体の調製と,精製したコア複合体をリン脂質2重層膜に再構築することに焦点を絞り,勢力的に研究を展開した。透過型電子顕微鏡を用いた観測により,人為的に再構築した人工光合成膜において,LH1複合体の直径10mmに対応する環状の構造体が細密充填構造(2次元結晶)を取り配列している画像を取得した。今後,同様の手法を用いて任意比率でLH2およびRC-LH1複合体を再構築することにより,光合成膜中における各アンテナ複合体間のコヒーレントなエネルギー伝達機構を解明するための,人工光合成膜試料の開発が可能となることが期待される。これと平行して,光合成細菌Rps. rubrumのLH1アンテナ色素蛋白複合体を,単量体ユニットに分解した後に,再び人為的に再構築して複合体を調製する手法を確立した。上述の人工光合成膜の調製技術と合わせる事で,色素系を改変した人工の光合成色素蛋白複合体の巨視的コヒーレンスの探索が可能となることが期待される。このように,本プロジェクトは当初計画を大きく上回る研究成果を達成して,終了することとなった。
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