研究概要 |
国内有数の米産地である秋田県の早産の米の一部のカドミウム汚染問題が報じられ,日本人の主食である米の重金属類汚染は深刻である.汚染米が発生した土地の土壌の入れ替え,カドミウム吸収剤の検討,また改善の対策の指針となるための地質学的研究であり,重金属汚染と汚染原因との関係究明が主たる目的である.その研究の結果以下のことを導いた. 1.単純な作物と土壌の分析のはか,農業水の水田に入り込む上流域と,河川への流出域の農業水,土壌中の重金属類の含有量変化の追跡を仙台市愛子地区を中心に行った.流入域と流出域の水・土壌の成分を分析,おもに流入域で活発に作物に遷移金属を中心とした微量成分が吸収されることが明確になった. 2.土壌の供給源としての後背地域の重金属類等の含有量の高いと予想される鉱床地域の相内や花岡地域の土壌には多くの銅,亜鉛などの卑金属に富むことが明らかになった.さらに基礎的データの集積を続ける必要がある. 3.稲の生育と合わせて,各稲の部位(根,茎下部,茎上部,笹の葉の各部,籾,米本体)などにわけて,微量成分の分析をおこなった.植物の発生や分化に関連していると推定され,玄米にはほとんどの有害微量元素(ヒ素,鉛,セレンなど)は含まれず,根や葉に濃集していることが判明した. 4.重金属汚染の実情と汚染原因究明によって得られた知見を総括しH16年公表する.
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