研究課題/領域番号 |
14654130
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能・物性・材料
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
水口 仁 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90281005)
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研究分担者 |
高橋 宏雄 ソニー(株)オプティカルシステム開発本部, 担当部長(研究職)
千住 孝俊 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助手 (70322097)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2002年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 有機顔料 / 結晶構造 / ピロロピロール / 水素ガスセンサー / 酸センサー / 光伝導 / 水素結合 / 電子構造 / 酸サンサー / 電子電子構造 |
研究概要 |
これまでにピロロピロール顔料の中でピリジン環を有するジピリジルピロロピロール(DPPP)が高いプロトン親和性をもち、プロトン化に伴い色調の変化(赤→紫)、電気伝導度の減少、ならびに光伝導の出現など著しい変化が認められることを報告した。本萌芽研究では水素ガスセンサーへの応用を念頭に置き、上記3つの特性の中でも最も感度の高い電気伝導度変化を使ったシステムを構築することを目指した。最大の難関は如何にして水素分子をプロトン化するかということで、プロトン化された後はDPPPがプロトンを捕獲し、薄膜でも2桁以上の抵抗率の減少が得られることが確認できた。プロトン化にあたっては標準水素電極にヒントを得た電気化学的な手法や、フタロシアニン等の有機半導体の表面を利用した系をテストしたが何れの場合も十分な感度が得られなかった。問題解決の糸口はPdあるいはPt等を作用電極上に(電気的にショートしない程度に)島状(アイランド状)にスパッターし、その上にDPPP層を形成してセンサーとすることであった。つまり、セルの構造として基板/Al or ITOの櫛型電極/Pd or Ptのスパッター膜/DPPP蒸着膜である。このセンサーは水素10%,1%,0.1%の雰囲気で電気抵抗が2桁に減少することが確認された。また、応答速度が速く1秒以内で2桁の電気伝導度の変化を誘起できる。更に、エージング等でも特性の劣化は認められない。本萌芽研究は見事に開花し、特許も申請することができた。今後は実用化に向けて検討を進める。一方、科学的な貢献にも顕著なものがあった。DPPPにはプロトンに活性を示す結晶相Iと比較的不活性な結晶相IIが存在することが示唆された。そこで気相ならびに液相の双方から単結晶の育成と結晶構造解析を試みた。気相から得られた平板上の結晶はピリジン環の窒素原子が塞がれておらず、プロトンに活性な結晶相Iであることが分かった。これに対し、液相から育成した針状結晶ではピリジン環の窒素原子が隣接する分子のNH基と水素結合を形成し、プロトンに不活性であることが明らかになった。水素ガスセンサーには結晶相Iが得られる条件でセンサーの作製を行っている。以上のように、本萌芽研究では基礎ならびに応用で大きな成果があった。
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