研究概要 |
n<SUP>+</SUP>-Si基板<100>面の表面に酸化シリコン層(膜厚,200〜500nm)を作製した基板を使って,TCNQを用いた有機電界効果トランジスタを作製した,ドレイン電圧・電流を測定したところ,TCNQはp型半導体の挙動を観測した.負キャリアの移動度はトップコンタクト型で1.4x10<SUP>-4</SUP>cm<SUP>2</SUP>/Vsであり,ボトムコンタクト型で2.5x10<SUP>-5</SUP>cm<SUP>2</SUP>/Vsであった.デバイスを液体窒素冷却のクライオスタットに取り付けて,ドレイン電圧・電流特性の温度変化を測定した.得られた結果から,移動度の温度変化を求めた.活性化型の温度依存性を示した.活性化エネルギーを求めると0.2eVであった.オリゴチエニレンビニレンTVTVT, TVTVTVT, TVTVTVTVT ; Tはチオフェン環,Vはビニレン)を有機半導体として,同様な電界効果トランジスタを作製した.ドレイン電圧・電流特性を測定したところ,3種類のオリゴマーともにp型半導体挙動を示した.正キャリアの移動度は,TVTVTで最も大きな値が得られ,1.3x10<SUP>-2</SUP>cm<SUP>2</SUP>/Vsであった.TVTVTを材料とした電界効果トランジスタに関して,ドレイン電圧・電流特性の温度依存性を測定した.電界効果移動度は活性化型の温度依存性を示した.活性化エネルギーを求めると0.090eVであった.超伝導を観測することはできなかった.超伝導を実現するためには,金属的な挙動を実現する必要があるが,界面における有機物の固体構造の制御と電界効果による電荷移動量をさらに大きくする必要がある.
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