研究課題/領域番号 |
14655020
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
表面界面物性
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松本 卓也 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (50229556)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2002年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 時間空間分解走査プローブ顕微鏡 / 時間分解力検出 / 振動法 / 非接触原子間力顕微鏡 / YAGレーザー / 銅フタロシアニン薄膜 / 光励起電子移動 / 絶縁体基板 / 分子内分極 / 走査トンネル顕微鏡 / 実効トンネル障壁測定 / 完全共益ポルフィリ |
研究概要 |
走査トンネル顕微鏡で分子や表面の励起過程を観察しようとするとき、試料基板に電気伝導性が必要であるため、基板への脱励起が深刻な影響を及ぼす。これに対して、原子間力顕微鏡は、絶縁体上での測定が可能であるので、素電荷を容易に検出できる。しかし、原子間力顕微鏡は力学応答を基礎とするため、時間分解能は極めて低く、動的な過程の検出には不向きであると考えられてきた。 本研究では、近年、急速に発展した非接触原子間力顕微鏡をベースに、カンチレバーの振動とパルスレーザーを同期させることにより、ミリ秒以下、サブマイクロ秒に及ぶ時間分解能で試料-探針間に働く力を検出することに成功した。 非接触原子間力顕微鏡では、局所的な力は、試料が探針に最近接したおよそ1マイクロ秒程度の時間しか働かない。この事実を応用して、パルスレーザー照射による電荷生成の後、ある遅延時間で探針が試料に対して最近接するように制御すれば、時間分解力検出が可能になる。 実験では、シリコン基板上に形成した銅フタロシアニン薄摸を試料とし、励起光源として半導体励起YAGレーザーを試料-探針間に浅い角度で照射した。高い感度と空間分解能が得られる非接触原子間力顕微鏡では、探針の振動は自励発振で、その周波数は変動する。従って、外部のトリガーでカンチレバーの振動とパルスレーザー照射のタイミングを制御することはできない。そこで、制御回路を自作し、カンチレバーの振動を一周期ごとに検出し、これをもとに次の周期の運動とのタイミングをとることで、一定の遅延時間制御を実現した。この方法により、実際に遅延時間に対して、半値幅約2マイクロ秒の力学応答を検出することに成功した。
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