研究概要 |
研究の目的の第1番目の,「位相(接続関係)と局所的な計量(道路の曲がり具合や交差点の交わり角度)」により,骨格となる地図のデータ構造を規定する方法の提案は,素案を元に,比較的大規模なデータベースを構築し,平成15年3月開催の情報処理学会全国大会で発表した。この研究により,道路や線路や川などのオブジェクトのモデルとなる「アロー」と,交差点や駅や川の合流や分岐などのオブジェクトのモデルとなる「ジョイント」という非常に単純な2個の部品を用い,3次元立体骨格地図を構成できることを,実際にデータを構築することを通して実証した。 目的の第2番目の「複数の地図の接続演算や重ね合わせ演算を可能にする」ことについては,非常に単純な方法として,2個の点を同一視する演算を導入し,上記骨格地図同士を接続した。このやりかたは単純であるが,複数の骨格地図を連結する上で役立つだけでなく,骨格地図を構成的に作り上げるためにも有効であった。しかし,点だけでなく,点と点を結ぶ枝についても共通部分を持つような2個の骨格地図を結合するための演算の構成については,未だ取り組んでいる。 骨格地図の描画については,描画のための規則を非線形方程式の最適化問題に置き換え,その解を求めることにより,描画位置を定めるという手法に取り組み,この方法に関する基礎実験を行ない,平成15年3月開催の情報処理学会全国大会で発表した。この研究により,従来の緯度経度に相当する絶対的な座標ではなく,「位相と局所的な計量」だけを与える骨格地図からの詳細地図化への接近法の有効性が確かめられた。
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