研究概要 |
本研究では,構造要素として重要な役割を果たしている皮質骨のリモデリングを定量的に評価するin vivo実験モデルの開発を目指し,実験技術開発を行った.そのために,負荷履歴が明らかな新生骨組織を生体内で誘導できるような実験システムの開発を行った.具体的には,フレーム型デバイス埋殖試験,骨延長術を応用した新生骨誘導実験を行った. まず,骨組織形成速度を観察するため,ラット右脛骨の一部に欠損を作り,その治癒過程を観察した.その結果,4週間後には外観上,欠損が塞がったが8週経過後でもその厚さは欠損部以外の領域や,未処置の左脛骨の対応する部位との比較においても薄かった,またwoven boneの痕跡と思われる空孔構造が残存した. 次に基礎実験として実験領域を規定するための以下の3種類のフレームをラット右脛骨に埋入し,フレーム内に骨組織を誘導する実験を行った.手術後,ケージ内で特に運動の制限を与えずに飼育した.しかし,フレームの脱落や欠損部周辺での骨折のため,どのモデルによっても新生骨誘導ができなかった. さらにラット用創外固定器を開発し,それを用いた骨延長術を試みた.創外固定器を装着したラット大腿骨をマイクロサージカルソーにより切断し,ケージ内で抗生物質を適宜投与しながら飼育した.ケージ内での運動,食事に特に制限を与えず6日間経過した後,0.5mm/日の骨延長を4日間施した.さらに延長をせずに4日間飼育したのちに屠殺し,マイクロX線CTにより新生組織を観察した.その結果,断面像には骨折治癒過程初期に形成されるwoven boneに特徴的な編目構造が観察できたことから,新生骨組織形成が順調であることが示唆された. 本実験により,骨延長術の応用により骨リモデリング実験のための新生骨誘導が可能であることが示された.
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