研究概要 |
本年度は,以下の項目について研究した. 1.骨梁のX線回折試験:牛大腿骨頭より採取した体幹方向軸,内外側方向軸,前後方向軸に配向する骨梁について,X線回折試験を行い,骨の無機成分であるハイドロキシアパタイト量の指標として回折強度を計測した.回折強度は前後軸方向に配向する骨梁において低く,骨梁の配向方向により異なる可能性が示唆された. 2.骨梁の微小かたさ試験:前年度と同様の方法により,前項1で使用した骨梁について微小ビッカース硬さ試験を行い,骨梁硬さとX線回折強度との関連について検討した結果,両者の間の相関関係を観察した. 前年度の構造特性試験並びに曲げ試験の知見を含め,海綿骨骨梁構造のマルチスケールの力学特性をマルチスケールでとらえる方向性を確認した. 3.皮質骨マルチスケールモデリング:マウス脛腓骨骨幹部のシンクロトロン断層像から,皮質骨内血管網を含むハバース管・フォルクマン管系構造を表現し,かつ骨単位系を考慮する3次元ボクセルモデリングを行った.これに基づく計算力学解析により,皮質骨の階層的微細構造とその結果としての力学的異方性へのマルチスケール解析の端緒を確認した.
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