研究分担者 |
辻 昌宏 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10132630)
井岡 誠司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50283726)
久保 司郎 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20107139)
中島 省志 ライオン株式会社, オーラルケア研究所, 主任研究員
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研究概要 |
本研究では,歯牙にパルス状熱負荷を与えた時の、歯牙表面温度変化に関するフルフィールドデータ(時系列サーモグラム)を,高速赤外線サーモグラフィを用いて計測し,これをもとに齲蝕病巣の検出および齲蝕が進行している領域・齲蝕程度を定量的に計測できる,新しい臨床診断システムを開発することを目的とする. 本年度は,昨年までに開発を行った,キセノンパルス光照射時の温度変動の時系列データをもとに歯牙初期う蝕の計測を行う手法の精度向上を図るとともに,より多くの歯牙の齲蝕を計測した. (1)昨年までに開発した基礎的実験システムのうち,特にパルス加熱装置に改良を加えた.歯牙表面の限定された領域に,より均質かつ高効率なパルス熱負荷を与えることができる装置を作成した. (2)人工脱灰歯牙試料を作成し,人工脱灰部のミネラル溶出量と赤外線強度の間の相関関係を求めるためのデータを追加収集した.その結果,脱灰部の赤外線強度をもとに歯牙の脱灰部位を検出するとともに,脱灰部の赤外線強度の減衰係数をもとに脱灰程度あるいは脱灰深さを定量的に計測できることに関する確証を得た. (3)人工脱灰歯牙試料に加えて,天然齲蝕試料の計測を行った.その結果,天然齲蝕部位についても同様の手法で検出が可能であることがわかった.また,目視によれば歯牙の天然齲蝕と見分けがつきにくい白斑について,赤外線計測によれば分離して検出できる可能性があることがわかった. 本研究課題に関する論文,Development of a new diagnosis method for incipient caries in human teeth based on thermal images under pulse heating (JSME International Journal, Series A)は日本機械学会論文賞を受賞した.
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