研究課題/領域番号 |
14655060
|
研究種目 |
萌芽研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
設計工学・機械要素・トライボロジー
|
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
森 誠之 岩手大学, 工学部, 教授 (60091758)
|
研究分担者 |
七尾 英孝 岩手大学, 工学部, 助手 (50312509)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2003
|
研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
|
配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
|
キーワード | 弾性流体潤滑 / 境界膜 / その場観察 / 潤滑油 / 粘度特性 / スス / エリプソメータ / 潤滑添加剤 / 潤滑設計 / EHL |
研究概要 |
エリプソメータ(既存設備)を用いて、全反射エリプソメータ法を潤滑油の固液界面近傍におけるダイナミックな挙動の動的観察に応用した。プリズムとロータ間に挟んだ、100〜200ミクロンの油膜をロータの回転により10^3〜10^5s^<-1>程度のせん断を与え、せん断による潤滑油膜とくに界面の100nmの構造変化を観察することに成功した。せん断により潤滑油の分子配向が生じ、これが反射光のΔ値の変化として観察された。せん断を続けると、指数関数的にΔ値が低下し、せん断の終了とともに静止時のΔ値に戻った。これらのダイナミックな挙動は、せん断による温度上昇に伴い試料油の粘度が低下するために生じたと考察した。これを確かめるために、界面近傍の温度上昇を測定するとともに、せん断による油膜の温度上昇をモデル的に解析し、いずれの結果もせん断による温度上昇による粘度低下を確認した。 潤滑油基油に各種の脂肪酸を添加し、せん断場におけるダイナミックな挙動を上記の手法により観察した。いくつかの脂肪酸において特異な挙動が観察され、これは界面近傍において動的な構造が形成されたことを示しており、潤滑機構を検討する上で貴重な結果である。 さらに、潤滑油にディーゼルエンジン排出のススのモデル物質として、カーボンブラックを潤滑油に添加し、せん断場における界面挙動を観察した。これまでの手法ではススによる遮光効果で観察が困難であったが、本法により界面油膜のススによる破壊を観察することに初めて成功した。油膜の破壊は、せん断速度や油膜条件に依存することを明らかにした。潤滑油の二次元的な流れを可視化することにより、ススによる油膜破壊は最も油膜が狭い中央部分で激しく、せん断により潤滑油は側方に流れるため、側方ではススによる油膜破壊が起こらないことを見出した。さらに、潤滑油添加剤を添加することにより、油膜破壊が起こらなくなり、界面構造がせん断場でも安定に存在し、改善が図れることを明らかにした。 以上、新しく開発した全反射エリプソメータを用いることにより、潤滑というダイナミックな条件下におけるナノスケール界面構造のダイナミックな挙動を観察することに成功し、さらに本法の応用性を期待し研究を継続してゆく予定である。
|