研究概要 |
本研究では,組立工程を必要としないOpt-MEMSプロセスの実現性を検討することを目的に,新しい加工法の提案とその製作を行った.まず,以下に示すマイクロブロー成型法を提案した. 1 MEMSプロセスにより,中空部を有する微細構造を薄膜金属ガラス材料で製作し,その中空部内にガスを封入する. 2 上記微細中空構造を,赤外線真空加熱炉を用いて加熱することで,封入したガス膨張と薄膜金属ガラスの軟化によりマイクロブロー成型を行い,冷却することで,マイクロミラー形状の成形を行う. 上記マイクロブロー成型法を用い,基礎的な検討として半球状の微細中空構造を製作し,以下のような結果を得た. 1 マイクロブロー成型法のプロセスを考案し,改良することで,薄膜金属ガラス部の直径100μm,変形前の膜厚0.5μm,密閉圧力1Pa,加熱温度652Kの条件で,変形量48.7μm(変形率97.3%)の半球状の微細中空構造の製作に成功した. 2 微細中空構造の製作を行うことで,直径と変形量の関係,厚さと変形量,温度と変形量の関係を明らかにした.また,理論的な検討を行い,実験結果と比較した結果,半球状の微細中空構造を得るためには,金属ガラス部の直径,厚さ,封入ガス容積,密封圧力,温度の最適な条件があることが明らかとなった. 3 温度と変形量の関係より,温度を高めて行った場合,変形量が652K以上において変形量の増加が止まることについて検討した.その結果,結晶化による変形の停止が原因であることを明らかにした. 本成型法により製作した半球状の微細中空構造は,マイクロミラーアレイ等のOpt-MEMSへの適用が期待される.今後は,この半球状の微細中空構造に酸化物ガラスを成膜や,高分子材料を充填することで,マイクロレンズを製作するプロセスを検討する.
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