研究概要 |
帯電窒素ガスを金属パイプ(内径10mm,長さ2000mm)中を通すと,出口での窒素ガスの電荷はほぼ0となる。金属パイプの内側をテフロンで被覆しても同じように出口電荷は0である。帯電液体窒素中の場合にも出口での電荷は0であるが,入口での帯電密度が低いのでパイプ内で捕獲されている電荷の比率を測定することができなかった。 液体窒素中に2枚の電極ABを数cmの間隔で配置して電極間に電圧を印加する。無帯電液体窒素中の場合には電極Aに電圧を印加しても電極Bには電圧が出力されない。帯電液体窒素中の場合には電極Aの電圧を高くすると電極Bの電圧も高くなる。例えば,電極Aの電圧を20kVとすると電極Bの電圧は5kV以上(測定限界値)となる。電極Bを薄い絶縁シートで被覆しても電極電圧は上昇する。すなわち,液体窒素中の電荷が電界によりドリフトして電極Bまたは絶縁シートに捕獲されて電極電圧が上昇しているのである。 電荷は絶縁体と接触した場合に絶縁体表面に蓄積電荷として残留し,自分自身から放電が発生することや沿面放電に影響を及ぼすことが推測される。そこで,77K液体窒素中,過冷却液体窒素中,帯電(帯電密度は低いと推測)77K液体窒素中で,直流による沿面火花電圧を比較したが三者間に有意な差はみられなかった。この結果は液体窒素の帯電密度が低い場合には電荷の存在が沿面火花放電に影響していないことを示している。
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