研究概要 |
これまでに試作された手術用のゴーグルライトに用いられた白色LEDは,チップサイズが350μmスクエアであり定格駆動で約1.8lm程度の光束である。したがってパワー照明の用途のためには,チップサイズを大きくしてLEDに流せる電流値を大きくすることが必要である。そこで,日亜化学で開発された高出力白色LED(商品名:NCCx002E)を用いて第2世代のゴーグルライトを試作した。チップサイズとして1mmスクエアが用いられており,350mAの定格駆動時に23lmの光束を実現している。このタイプの白色LED8個を高熱伝導性AlNセラミックスにリフロー接合させ,さらにこのセラミック基板の裏面にAl製の放熱フィンとマイクロファンを設けることでパワー白色LEDモジュールを作製し,これをLEDゴーグルの両端に取り付けて構成した。この装置からは,約450lmの光束が得られるので15cm各程度の術屋に集光すれば,単体のゴーグルライトで2万lx (lx=lm/m^2)の外科手術における厚生省の照度基準を達成することができる。医療照明用の白色LEDは,現状では一般用途として開発された素子を流用することで用いられているが,将来はオーダーメイドの照明光源としてのポテンシャルを秘めている。これまでの白色LEDのスペクトルは,InGaN活性層からの460nm付近の青色発光帯とYAG蛍光体からの580nm付近にピークを有するブロードな発光帯から形成されていたため,赤色帯のスペクトル強度が十分でなかったが,新たに開発されたナイトライド系赤色蛍光体を用いた高演色性LEDを用いて,動脈,静脈さらには種々の生体組織の特殊演色評価数をデータベースとして構築することに着手した。
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