研究概要 |
(1)磁気ディスク装置における位置外乱の影響の解明 磁気ディスク装置を対象として、磁気ヘッドの変位をヘッド制御信号と比較を行うことで、ヘッドとトラックの相対的位置ずれを詳細に観察する。実験結果及びシミュレーションにより振動系及び制御系の解析を行い、アクチュエータを含む位置決め機構、除振機構等の振動系のモデル化を行う。この結果に基づき、位置外乱の影響を定量的に明らかにし、磁気ディスクの位置決めに影響を与える各外乱成分の分離を行った。これらの結果を基に、詳細な数値モデルに基づくシミュレータを作成した。また、各外乱成分の、位置決め精度に対する影響について検討し、制御系設計に活用する基礎データの収集を行った。 (2)外乱推定技術及び外乱抑圧技術 外乱分離結果に基づき、外乱に対する位置決め精度を向上させる技術として、適応制御系を適用した。平成14年度は、特に周期性があり、位置決め誤差に大きく影響する同期外乱成分の抑圧を試みた。このとき、(1)で作成したアクチュエータの精密モデルを用いることで、より正確にリアルタイム適応制御が可能となり、本手法を用いない時と比較して、約80%の外乱抑圧を可能とした。 一方で,適応制御系を適用した場合,抑制効果を得るまでの時間が長いことが問題であった。平成15年度では,この問題を解決する手法として,「周波数領域逆伝達関数補償法」を提案した。本手法は先の手法と比較して,抑制効果を得るまでの時間を約90%短縮させ,かつ20%の外乱抑圧を可能とした。
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