研究概要 |
本研究は,自然風の乱れに起因する構造物の不規則応答であるガスト応答の推定精度を向上させるために,風洞内に任意の乱流特性を有する自然風を再現することを目的とするものであり,特に,変動風速の空間相関特性を自由に制御することに重点を置いて進められたものである.本年度に得られた成果を以下に示す. 主流と直交する方向に設置された10枚の柔軟な翼(長さ1m)を20cm間隔に配置された5基の翼制御ユニット(ACサーボモータによって翼に任意の鉛直変位を与える装置であり,制御用のパーソナルコンピュータの出力電圧を16ビットワンチップコンピュータで構成されるモータコントローラによってモータの駆動パルスを作成しモータに任意の回転角を与えるように作られている)を設置し,それぞれを独立して駆動させることにより,パワースペクトルなどの乱流特性は維持したまま,任意の空間相関分布を有する気流を生成することが可能となった. 特に今年度は,昨年度試作した乱流生成装置の支柱を取り除き,分割されていた剛な翼から,柔軟な1枚翼にすることで乱流特性が空間的に滑らかに分布するような改良を施し,昨年度の結果では不連続な分布となっていた乱流特性が滑らかに分布するような結果を得ることができた. 今後改良すべき点としては,柔軟な翼を使用したために生じた駆動軸間で生じる翼の弛みが気流の迎え角に影響を与えている点が挙げられ,翼の素材の選定にはもう少し検討が必要である.
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